元祖大師御法語 前編
第二十八 来迎引接
法爾の道理と云う事あり。
ほのおは空にのぼり、みずは、くだりさまにながる。
菓子の中に、すき物あり、あまき物あり。
これらは、みな法爾の道理なり。
阿彌陀佛の本願は、名号をもて、罪悪の衆生を、みちびかんと、ちかい給いたれば、ただ一向に念佛だに申せば、佛の来迎は、法爾の道理にて、うたがいなし。
天然自然の道理というものがある。
炎は空にのぼり、水は低い方に流れる。菓子には酸っぱい菓子があり、甘い菓子がある。
これらは何れも天然自然の道理である。
阿彌陀佛の本願は、罪深い悪人であっても念仏を称えれば、極楽浄土に往生させると誓い給うている。
ただ一向に念仏さえ唱えてさえいれば、仏の来迎を蒙ることは、天然自然の道理であって疑いのないことである