元祖大師御法語 後編
第二十八 順逆二縁
此のたび輪廻の、きずなを、はなるる事、念佛に過ぎたる事は、あるべからず。
このかきおきたる、ものを見て、そしり謗ぜんともがらも、必ず九品の、うてなに、縁をむすび、たがいに、順逆の縁、むなしからずして、一佛浄土の、ともたらむ。
抑も、機をいえば、五逆重罪を、えらばず。
女人闡提をも、すてず、行をいえば、一念十念を、もてす。
これによりて、五障三従を恨むべからず。
この願をたのみ、この行をはげむべき也。
念佛の力にあらずば、善人なお、うまれがたし。
いわんや悪人をや、五念に五障を消し、三念に三従を滅して、一念に臨終の、来迎を、こうぶらんと、行住坐臥に、名号を、となうべし。
時処諸縁に、此の願をたのむべし。
あなかしこあなかしこ。